ぶどうについて
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H.Fujimaki
醸造に向いた葡萄
ワインは葡萄の果汁を発酵して造りますがどんな葡萄を使っているのか見たことがある人は意外と少ないのではないでしょうか。皆さんが生のまま良く食べるデラウェアなどの葡萄は実はアメリカ原産の葡萄やそれの改良型が殆どです。ワインにするヨーロッパ系の葡萄はあまり生では食べないようです。えっ、葡萄にアメリカ系とヨーロッパ系があるなんて知らなかったという人(多分殆どの人がそうだと思います)のために簡単な葡萄の伝来図を書いてみました。
ワインに適した葡萄の原産地は西アジアだと言われています。ここに自生していた葡萄が長い間に人間などによって世界各地に伝わりました。今、皆さんが飲んでいる殆どのワインの原料となるヨーロッパ系葡萄(学名はヴィティス・ヴィニフェラと言います)はここを原産地としヨーロッパに広まった物だと言われています。ワインの歴史でお話したようにローマ帝国がこの葡萄を広めた大きな力となったようです。ヨーロッパ、特にフランスで成功した品種は19世紀にカリフォルニアに伝えられました。
西アジア原産の葡萄はもう一つ東の方向にも広がり中央アジア、中国を経て日本にも伝えられています。甲州という葡萄はこの東アジア系の葡萄で日本原産の数少ないヨーロッパ系の葡萄です。
一方でアメリカ原産の葡萄があります。ヴィティス・ラブルスカという系統とヴィティス・リパリアという系統です。この葡萄は醸造用に向かないのですが、ヴィティス・リパリアはワインの歴史でお話した葡萄の害虫「フィロキセラ」に対して抵抗力があることから現在では台木としてヨーロッパ系の葡萄を接ぎ木する場合に広く使われています。ヴィティス・ラブルスカは生食やジュースにするのに向いています。
もうひとつヴィティス・アムレンシスという系統もあり東アジアで少しだけ栽培されています。日本の十勝ワインの一部にも用いられています。
赤ワイン用葡萄
- カベルネ・ソーヴィニヨン
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- ボルドー地方の代表的な品種です。
- タンニンが多く長期熟成型のフルボディタイプのワインが出来ます。
- ボルドーのシャトーでは、カベルネソーヴィニヨンを主体に
- メルロー、カベルネ・フラン、補助としてプティ・ヴェルドーなどを
- 各シャトー毎の独自の割合でブレンドして複雑な味わいをつくり出しています。
- カリフォルニアやオーストラリアでも成功していて素晴らしいワインを生み出しています。
- カシス(ブラックカラント)の香りが特徴的です。
- ピノ・ノワール
ブルゴーニュ地方の最高級品種です。タンニンはやや少なく色もカベルネ・ソーヴィニヨンに比べるとやや薄いことが多いようです。ブルゴーニュではピノ・ノワールだけの単一品種でワインを造っています。とても香り高く、酸味をもったバランスのよいワインを生み出します。他の地方での栽培は難しいと言われていますが、アメリカのオレゴン州などでは素晴らしいものが出来ています。フランボアーズ(木苺)の香りや、梅の香りがします。
- シラー
南フランスやオーストラリアで成功している品種です。紫色を帯びたとても濃い色のワインができ、タンニンが多く、ややくせを感じるかもしれませんが素晴らしいワインを生み出します。サラミソーセージや胡椒などのスパイスの香りが特徴的です。
- カベルネ・フラン
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- あまり特徴がないのが特徴とも言えるかもしれない葡萄です。
- 植物的な香りもあります。
- ボルドーでの補助的な品種、
- ロワール地方のシノンなどに使われています。
- メルロー
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- タンニンがやや少なめで柔らかい
- 口当たりの色の濃いワインを生み出します。
- ボルドーのポムロール地区が有名です。
- 他にもサンテミリオン地区などで使われ
- メドック地区でも補助的に使われています。
- ガメイ
ブルゴーニュ地方の南、ボジョレー地区で多くが栽培されています。ボジョレーヌーボーもこの葡萄から造られます。フレッシュ&フルーティなワインが造られます。
白ワイン用葡萄
- シャルドネ
世界各地で成功している優等生の葡萄品種です。特にブルゴーニュ地方で素晴らしいボディのある白ワインを生み出します。樽熟成させることにより厚みのあるワインも出来ます。シャブリやモンラッシェなど有名なワインの多くがこの品種から造られています。またシャンパーニュにおいても重要な品種です。
- リースリング
ドイツやフランスのアルザス地方で大変香り高い素晴らしいワインを生み出します。寒さに強く晩熟型で栽培は難しいのですが、ドイツの最高級品種となっています。
- ソーヴィニヨン・ブラン
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- 草の香、スモーキな香のワインができます。
- ロワール地方では単独で使用されサンセールやプィイ・フュメなど
- すっきりとした酸味豊かなワインが有名です。
- セミヨン
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- ボルドーのソーテルヌ地区で造られる貴腐ワインの原料となる葡萄です。
- 皮が薄いため貴腐化しやすい葡萄と言えます。
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- ミュスカデ
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- ロワールの河口近くナント地区で多くが栽培されています。
- シュール・リーという製法を使い、フレッシュで酸味の鋭いワインを生み出しています。
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