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お店で売っているワインがすべて飲み頃のワインである訳ではありません。飲める時期にはなったけれど、まだまだ熟成させた方が良い時もあれば、すぐにでも飲んだ方が良い時もあります。先ずワインの一生について簡単に触れます。
同じ畑の同じ葡萄の木から採れた葡萄でワインを作っても、収穫年によってワインの品質が変わってきます。
これは葡萄が農作物である為、その年の天候に左右されるという宿命的な理由によるものです。天候に恵まれた年のワインは素晴らしく時には偉大なワインが生まれます。一方、天候に恵まれなかった年にはあまり良いワインが出来ない事が多いようです。
左の図は天候に恵まれた年に、高い技術力を持った生産者が造る「偉大なワイン」の熟成過程と、天候に恵まれず偉大になれなかったワインの熟成過程です。
赤い線で示した「偉大なワイン」は熟成に時間がかかり飲み頃になるまでに長い時間が必要です。しかし、飲み頃の時期は長く安定して続きます。
一方、ピンクの線で示した「天候に恵まれなかった年のワイン」は熟成が早く、飲み頃になるまであまり時間を必要としません。そして飲み頃は比較的短い期間で終わってしまいます。
でも、良く見るとピークは低いとはいえ飲み頃の時期には「偉大なワイン」より、飲むのに適している時期があります。この時期を狙って比較的安い価格で飲み頃のワインを飲むのも悪くないでしょう。
ワインはその産地、産地毎に特徴を持った物が造られています。ですから、その飲み頃も産地によって大きく変わると考えて良いでしょう。フランスについて以下におおざっぱな目安を書いてみました。
でも、同じ産地でも上で述べたように年によって違いますし、畑や生産者が違うと飲み頃も変わってくるので、あくまで目安としてお使い下さい。
収穫年の天候などにより産地別にワインのランク付け(点数)をしたものがヴィンテージ・チャートです。しかし、自然の力はまだまだ人間の英知の及ぶところではなく、例えばボルドーの90年ものは88,89年よりわずかに劣ると当初思われていましたが、熟成が進むにつれ「偉大なワイン」へと変化しました。
また、シャトー・ラトゥールのように葡萄を厳選したりする事により、天候のやや悪い年でも安定した高い品質を維持している生産者もありますので、ヴィンテージ・チャートを鵜呑みにしてしまうのも問題があると思います。