Mosel-Saar-Ruwer(モーゼル・ザール・ルーヴァ)はRheingau(ラインガウ)と並びドイツでも優れたワインを産み出す地域です。殆ど100%が白ワインで、素晴らしい芳香と爽やかな酸味のフルーティなワインが生産されています。ドイツワイン売り場で探す時には緑色の瓶を探すとモーゼルワインが見つけやすいと思います。
左の地図はMosel-Saar-Ruwer地方とワイン産地を示しています。
南西から北東に向かって流れているのがモーゼル川です。地図でも多少分かるかと思いますが、蛇行を繰り返して直線距離140Kmのところを245Kmもかけて流れています。
ワイン産地は黄緑色で示しました。トリア市の上流でザール川が合流し、トリア市のやや下流でルーヴァ川が合流します。モーゼル川、ザール川、ルーヴァ川の3つの川の流域に優れたワイン産地が集まっており、これらの地区をまとめてモーゼル・ザール・ルーヴァと呼んでいます。
曲がりくねったモーゼル川の両岸は切り立った土手になっていて、この急斜面に葡萄が植えられています。これはモーゼル地方が大変高緯度であるため、出来るだけ太陽の光をたくさん受けようとするためでもあります。しかし栽培は困難を極め急傾斜のため機械化もできず、未だに人力による作業が殆どです。
ドイツのワインの名前は
村の名前+畑の名前
という組み合わせて作られているものが多いようです。しかし畑の名前は余りに多く私たちワインアドバイザーでも覚えるのはとても大変です。そこで、ここでは主な村の名前と主な畑の名前だけを厳選して紹介する事にします。
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真偽のほどは別にして、いくつかの畑には有名な逸話が残っていますので簡単に紹介しましょう。
日本語で「黒猫」という名前のこのワインには必ずラベルに黒猫の絵が描いてあります。 右の写真は一例ですが、黒猫は色々な図柄があるようです。 |
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Doktor(ドクトール)
その名の如く「医者」と呼ばれるワインです。昔トリアの町の司教だった王様が重い病にかかり、侍医達もさじを投げるほどだったときのことです。一人の農夫が自分の畑で作ったワインを差し出し、これを飲んだ司教はみるみる回復し元気になってしまいました。王様はほうびとして城周辺のワイン畑をこの農夫に与え「汝、この畑をドクトールと名づけよ」と命じたそうです。その名の如くドクトールの畑から出来るワインは今でも大変素晴らしいものです。