ピエモンテのワイン

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ピエモンテはイタリアの北西に位置する州で北はアルプス山脈のスイス国境、西はフランスに接しています。
「山の足」という名の通りアルプス山脈の麓に広がる州でワイン産地はこの麓に広がっています。

気候はイタリアにしては厳しく寒くて雪の多い冬、乾燥した夏、そしてぶどうの収穫期には霧が発生する土地です。高級ぶどう品種「ネッピオーロ」はこの霧「ネッビア」が出る頃に収穫期を迎える事からついた名だと言われています。


Piemonte


ピエモンテはトスカーナと並ぶイタリア屈指の高級ワイン産地で「イタリアワインの王様」と言われる「バローロ」を筆頭に素晴らしいワインが多数作られています。

DOCGはバローロ、バルバレスコ、ガッティナーラ、アスティ・スプマンテと4種類あり、30以上のDOCも指定されています。それ以外にも素晴らしいVdTも沢山作られています。

ここでは代表的な銘柄として4つのDOCGとバルベラ・ダスティ、バルベラ・ダルバ、ドルチェット・ダスティ、ドルチェット・ダルバ、ガヴィ、そしてヴェルモットについて触れたいと思います。

左の地図は産地を表したものですが、イタリアは産地の重複が多く特にピエモンテは複雑に重なっているため正確に表す事が困難です。大体の目安として考えて下さい。イタリアの場合はむしろ生産者の名前の方が重要な要素かもしれません。

最後に素晴らしいワインを作り出している代表的な生産者2つを紹介します。







バローロ(Barolo)

Barolo「イタリアワインの王様」と呼ばれるこのワインは地図では赤色で示した地区で生産されています。
タラノ川沿いのアルバの街の近く「ランゲの丘」付近で造られています。ぶどうは最高品種の「ネッビオーロ」を用い3年以上熟成させた後、出荷が許されますが、90年、89年、88年、85年、79年、78年、71年など優良収穫年のワインは20年以上の熟成に耐えうる偉大なワインとなりました。
少しオレンジを帯びたガーネット色のワインですみれの花の香りのする個性的なワインです。辛口でタンニンも多くボディの厚いしっかりしたワインとなります。室温(18度C)からやや高目の温度でジビエなどの個性的な肉料理と合わせると良いかと思います。
ボトルも少しだけ変わっておりアルベイサと呼ばれる写真のような形の瓶を使っています。

バルバレスコ(Barbaresco)

バローロの弟分に当るのがバルバレスコです。地図では橙色に示した地区が産地です。バローロに比べるとややまろやかで口当たりが良い印象がありますが、その分熟成期間も短く15年ほどで飲み頃を迎えます。それでも長期熟成型のフルボディのワインと言えます。
バローロと同様、ネッビオーロから造られ、オレンジ色を帯びたガーネット色の個性的なワインです。

ガッティナーラ(Gattinara)

地図では右上に赤く示した小さな地区です。バローロ、バルバレスコと同じネッビオーロから造られる長期熟成型のワインで「イタリア醸造技術が生んだ宝石」と呼ばれたこともあります。苦みがややあるため、炭火焼きの肉料理などに合わせると良いでしょう。
熟成には15年ほど必要でタンニンも多く、ボディもしっかりした辛口の赤ワインです。

アスティ・スプマンテ(Asti Spumante)

最近、イタリアの発泡酒としてよく見かけるようになりました。地図では黄緑色の地区で生産されています。かつてはシャンパーニュと同じ瓶内2次発酵方式で作られていましたが最近はタンク発酵方式のものが殆どです。2次発酵をする前の状態がモスカート・ダスティで、このまま出荷されるものもあります。軽い発泡がありこちらも人気があります。
モスカート・ビアンコというぶどうから造りますが、日本では「マスカット」と言った方が分かりやすいかもしれません。ワインの方もマスカット特有の香りがする甘みのあるものに仕上がります。口当たりが良いので女性に人気があります。

ガヴィ(Gavi)

コルテーゼ・ディ・ガヴィとも言いますが、地図では緑色の地区で生産されている辛口の白ワインです。原料のぶどうはコルテーゼ、やや緑色を帯びた麦わら色の透明感のあるワインで、レモンパームの様な香りと心地良い酸味をもったすっきりしたワインです。
3年以内に飲む若のみタイプのフレッシュなワインです。魚介類とのマッチングはとても良いと思います。

バルベラ・ダスティ/バルベラ・ダルバ

どちらもバルベラというぶどうから造られるややカジュアルな赤ワインです。ルビー色をしたワインでやや厚みには欠けますが飲みやすく、また多くの料理に合わせやすいワインです。

ドルチェット・ダルバ/ドルチェット・ダスティ

こちらはドルチェットというぶどうから造られる赤ワインです。ドルチェットはネッビオーロに次いで注目されているぶどうです。ネッビオーロに比べるとまろやかでまるみのあるワインになり、こちらもバルベラ同様、多くの料理に合わせやすいワインです。

代表的な生産者

イタリアワインはVdT(テーブルワイン)の格付けでもDOCGを遥かに超える優秀なワインがたくさんあります。これらを見分けるひとつの目安に優秀な生産者を見つける事があります。ピエモンテで特に評判の良い生産者を2つ紹介します。

GAJA

とても有名な生産者です。バルバレスコにあり畑の名前のついたGAJAのバルバレスコは評判も大変高いものです。バルバレスコの他にもソーヴィニヨン種を使ったものや地元品種を組み合わせたものなど様々なものがありこちらはVdTとして出荷されています。そして中には素晴らしいワインも含まれています。ラベルは上に黒い帯があり「GAJA」と白抜きで大きく書かれていますので分かりやすいでしょう。

ALDO CONTERNO

こちらはバローロで有名な生産者です。評価も大変高く価格もかなり高いものになっていますが、それにふさわしい素質を備えています。独自のブレンドによる「Granbussia」はバローロファンならば一度は口にしたい一品でしょう。

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