シエナ通信 Vol.5 (2001年11月)
Copyright(C) 2001 Kiyomi Otawa
みなさん、今日は。
シエナはまだ半袖ですごせる程の温かな午後もあり、
「今日、何月何日だっけ?」と暦の感覚が麻痺してしまう今日この頃。
まだまだ秋の入り口と思いきや、もう11月に入ったのですね!
2001年のカレンダーは、例年に比べ、特に早足で過ぎ去りようとしていると
感じているのは、私だけでしょうか?
しかし、日没後から急に変わる厳しい空気からは、
はっきり‘11月’という性格を感じ取れます。
そして、私の身体も潜在的に秋から冬への身支度を
着々と始めているようで、よく食べること!Mamma mia!
ポルチーニ茸、トリュフ、イノシシ、栗を使ったドルチェ・・・
これらの新鮮な素材をベースに腕を奮われた料理を、どうして拒むことができましょう!?
この秋、舌を肥やすことにします!でも、身体の肥え方は、程々にね。
それでは、今回も、シエナ通信を通じて、ちょっとしたシエナの味覚旅行を味わいください!
葡萄畑
「LAMBARDI」
最近、ブルネロに惹かれているせいもあり、
今回もモンタルチーノから
ブルネロのカンティーナの紹介です。
イタリアで発行される
「I grandi vini della Toscana
(トスカーナの偉大なワイン)/
Daniel Thomases著」に
登場する24のブルネロのセレクトの
一つとして取り上げられている
「LAMBARDI/
Azienda Agricola Canalicchio di Sotto」。
国立のエノテカ・イタリアーナのワインメニューにも置かれ、
小さなカンティーナながらも、押さえるべきポストは押さえる、
地元では評価の高いカンティーナの一つです。
「今日の午後、カンティーナを訪問してお話を伺いたいのですがいいですか?
あっ、それと、私、車ないのでモンタルチーノの街からは歩いて行きますけど、
結構、距離ありますかね?」
「いいよ。近道通ると2キロくらいだから、大丈夫だよ」
とりあえずは、この‘2キロ’という言葉に安心し、
早速バスでシエナからモンタルチーノへ向かいます。
LAMBARDIのオーナー、マウリッツィオとの約束は14:00。
少し早いと思いつつも、初めての道なので
12:30にはモンタルチーノの街を出発。
ブルネロ協会発行のカンティーナ所在地マップを
片手に郊外に向かって歩き始めます。
広〜い!、気っ持ちいい〜!歩いているのは私一人〜!
誰に気兼ねすることなく、
お腹の底からの複式呼吸でもって大声で歌い、すっかり上機嫌。
さて、30分程歩いたところで、方向案内の看板が現れます。
〈VALDICAVA →4.5キロ〉
んっ?確か、「LAMBARDI」はVALDICAVAのすぐ隣のはず・・・。
「あの時2キロって言ったから、
もうそろそろ到着してもいいはずだよな〜?
イタリア人独特の感覚で、
2キロも6キロも同じようなものなのかしら?
それとも、私、
2キロと2時間を聞き間違えちゃったのかな〜・・・?」
この時点で、今までのカラッと晴れた
脳天気なテンションに少し雲がかかります。
エネルギー節約のためピタリと歌うのをやめ、
更にひたすら歩くこと約1時間、
やっと〈LAMBARDI →0.3キロ〉の看板にたどり着きました。
つい嬉しくなり、歩道にいたおばちゃんに声をかけます。
「私、モンタルチーノの街から歩いてきたんですよ〜!
長かった〜!ここって、CANARICCHI DI SOPRAですよね?」
「違う、違う。CANARICCHI DI SOPRAは向こうだよ。」
「えっ、そんな・・・あっ、間違えちゃった。ここって、CANARICCHI
DI SOTTOですよね。私、‘LAMBARDI’に行くんですよ」
「だったら、ここだよ。あんた、誰に会いに行くの?」
「マウリッツィオさんです。今朝電話して、2時の約束したんです!」
この言葉数少な目のおばちゃん、私を案内してくれているのか、
おばちゃんも偶然に方向が同じなのか?私と適当な距離を置きながらも
カンティーナの玄関へ一緒に向かいます。
玄関前で威勢良く吠えまくる3匹の犬に、
不審者ではないことを証明しようと挨拶がてら一匹ずつ頭を撫でていると、
オーナーのマウリッツィオが現れました。
「今日は!も〜、歩きましたよ!」
「どの道、通ってきたの?アスファルトの道?それじゃ〜かかるよ!
ほら、この路さ〜登っていくと、モンタルチーノまではすぐなんだよね!」
「な〜んだ!」
そうですよね、近道とは分かりにくいモノです。
街の地理に不慣れなうちは、ボーイスカウトが歩くようなこの山道は流石に見付けることはできません!
でも、次回からは大丈夫。
みなさん、モンタルチーノの中心街から車がなくても歩いてこれる、
この秘密の小径を後ほど紹介しますね!
そして、このさっきからのおばちゃん、実はマウリッツィオのお母さんでした。
マウリッツィオはこのお母さんエリデボレッリの一人息子。
ここに2人で生活します。
1973年、初めのブルネロ生産本数は500本でした。
今では年間18,000本。決して多くはないですね。
そのほか、ロッソ・ディ・モンタルチーノを
年間10,000〜12,000本生産します。
「お母さんはモンタルチーノの出身なんですか?」
「そうそう。この家じゃないけどね、
少し向こうの土地で生まれ育ったの。」
「お母さん、ワインよく飲みます?」
「私ね、ワインもコーヒーもダメ。飲めないの。お水だけ」
「どうして、ワイン造りを始めたんですか?」
「商売はさ、昔やってた小麦の栽培やイノシシ猟では
儲けにならないないんだよ。
でも、ワインも儲かるってもんじゃないね。
お金が入っても、そのお金は必要経費に
すぐ消えちゃうから・・・大変だよ!」とマウリッツィオ。
「日常のテーブルワインだったら苗木植えて3年も経つと葡萄が摘めるけど、
ブルネロの場合はそうはいかないからね。
やっぱり、12年くらいかかったかな?とにかく、ゆっくりとやっていくしかないね」
「シエナから来る途中、Buonconventoを過ぎた辺りで、
霧に覆われた幻想的な景色だったんですよ。
この辺も霧が発生します?」
「ここはね、霧はでないの。
出たとしても年に10日くらいじゃないかな?いいコンディションだよ。」
「土はね、ガレストロとか、アルジッラ(粘土)とか色々混ざってるんだよ。
俺らは‘terreni medio impasto・
ごた混ぜの土地 ’って呼んでるの」
「やっとベンデンミア(葡萄の収穫)が
終わって一安心ですね。
毎日畑に出っぱなしでしたでしょ?」
「ベンデンミアの時だけじゃないよ。
それ迄の状態も大事で、毎日チェックしないとならないからさ。
結局、いつも畑で過ごしてるよ。
今日、大丈夫って言われたからって、明日も大丈夫な訳じゃないからね。
湿り気あるとダメだしさ、葡萄も風邪引いちゃうんだよ」
「あらっ、葡萄のお医者様は、誰ですか?」
「Dottoressa マヌエーラ・サーニ」
「女性の方なんですね?」
「そう。3人の子供がいるよ。男の子1人と2人の娘さん。
彼女はこの辺りの畑を担当してるんだ。
で、カンティーナを担当するのがパオロ・マガズィーニ。
これは内のスタッフ。葡萄の状態がいいと、彼は楽なんだよ。
何もしなくていいんだ!」
「例えば、選果の時、1本の葡萄の木に何房くらい残します?」
「一概に言えないよね。とにかく全部の房を見て、
ある木は8房だったり、ある木は2房だったりさ」
「他のカンティーナのブルネロと比較して、ここのワインの特徴というと、何ですかね?」
「ん〜、規制に従って造るから・・・」とちょっと困った表情。
イタリア人の気質から言うと、「うちのが、なんてったって一番!」
と芝居がかった大袈裟な表現であれこれとアピールするところですが、
彼の口からは自分のワインを誉めるような文句がなかなか出てきません。
不器用なんだけど、正直が取り柄といったやさしいマウリッツィオ。
言葉からは出なくても、この人が葡萄畑でまじめに仕事をしている姿は想像がつきます。
この日お土産に頂いたブルネロは、早速、明日にでもお店に持っていって
スタッフ一同で楽しむ事とします。
さて、どんな香りなんでしょうか?どんな味なんでしょうか?
そして、どんな感触で後味が残るのでしょうか?
パトリッツィオを始め、他のスタッフからのコメントも楽しみです。
ここで日本の皆様に嬉しいお知らせです。
ここ[エノテカ トスカーナ]より皆様のご自宅にワインを発送致します。
今回の「LAMBARDI」はもちろんのこと、先月号でご紹介した「VALDICAVA」他、
30種類以上のブルネロの取り扱いがありますので、
ご希望のお客様は、『ワインスパイラルのトップページ/ご意見メール』へお問い合わせ下さい。
折り返しの連絡で詳細な案内をさせて頂きます。
「LAMBARDI」のブルネロ96年は、45.000リラ(23.24ユーロ)、
日本円にすると2,700円弱くらいと思われます。
「VALDICAVA」のブルネロ96年は、64.000リラ(33.05ユーロ)、
日本円では3,800円弱です。
只今、商品リスト、発送方法、支払い方法等の案内作成中です。
カンティーナによっては発売日が異なりますが、
年明けから登場するブルネロ‘97のオーダー予約もお受け致します。
‘97モノは凄いらしいとの噂が飛び交うブルネロ97。
11月中には、ワインスパイラルで見れますので、乞うご期待下さい。
では、モンタルチーノの中心街から「LAMBARDI」への行き方です。
この辺りは、「VALDICAVA」や「SCOPETONE」など
小規模ながらも質の高いカンティーナが集まるちょっとしたポイントゾーンです。
シエナからモンタルチーノへバスで向かい、終点(Piazza Cavour)で下車してください。
そのすぐ近くに「HOTEL dei Capitani」というホテルがあります。そのホテルに向かって[Via
Lapini]を進み、ホテルに突き当たったら左へ曲がります。
3分ほど進むと〈PORTA BURELLI〉という門があります。その門をくぐると、もうそこからは山道です。
門をくぐったら、右の方向へどんどん進んで下さい。
‘ブルネロ小径’とでも呼びたくなるようなこの山道は、人里離れてひっそりと棲息する葡萄村を発見してしまった!
という、なんともファンタジーな優しい光景を楽しませてくれます。
シエナよりワインの旅をするために
●シエナの街中で宿泊
今回、シエナ通信の拠点でもあるシエナの街より、
シエナの散歩にも便利な2件を紹介しましょう。
・ CHIUSARELLI Tel/0577-280562 fax/0577-271177 viale
Curtatone,15-Siena(街中)
www.chiusarelli.com - info@chiusarelli.com
★★★ホテル。
レストラン・庭・駐車場あり。テレビ、エアコン、電話、室内冷蔵庫、トイレ、付き。
シングル 130.000リラ/ ダブル 190.000リラ
・ATHENA tel/0577-286313 fax/0577-48153 via Paolo Mascagni,55-Siena
(街中)
www.hotelathena.com email@hotelathena.com
★★★★ホテル。
レストラン・庭・駐車場あり。テレビ、エアコン、電話、室内冷蔵庫、トイレ、付き。
シングル 250.000リラ/ ダブル 320.000リラ
※これは、ハイシーズン料金(6月〜11月3)です。
私の場合、ホテルの予約はまず先方に電話を入れ、
希望日の空室状況、金額、支払い方法等の確認をします。
そして、予約確定のために、自分の名前、連絡先、宿泊日、
電話で話した条件(金額や朝食付き、トイレ付き等)を
記載したFAXを先方へ送ります。
念のため、先方からも予約確定の返事がFAXでもらえるとよいのですが、、、。
もし、大変そうでしたら、航空チケットを買った旅行代理店や
海外で使えるキャッシングカードのサービスに
〔ホテル予約手配〕のあるところもありますので、
そこにお願いしてしまうのも手ですね。
●そして、美味しい物、食べましょ!
シエナの伝統料理を守る店「Bagoga 」
シエナのカンポ広場から徒歩約3分。
裏路地に面しているため見付けにくいかもしれませんが、
シエナにお立ち寄りの際には是非、
訪れていただきたい店があります。
シエナ生まれのシエナ育ち。
生粋のセネーゼ、ファニャーニ・ピエリーノの店「Bagoga 」です。
皆から‘ピエロ’と呼ばれるこのおしゃべり好きで
陽気なオーナー兼シェフは、
厨房からちょくちょく現れては、
お客様とのコミュニケーションを楽しみます。
さて、このピエロの料理、ひょっとして、
皆様の中で彼の料理を既に堪能された方が
いらっしゃるかもしれません。
といいますのも、つい先日、
東京と横浜のロイヤルパークホテルの招待を受け、
トスカーナ料理を日本の皆様に披露した他、昨年の12月にも、
銀座プランタンの招待で日本に招かれ、トスカーナ料理を披露しています。
そんな彼のご自慢の逸品は‘オスカーのウサギ料理’と呼ばれる
「Coniglio alle CRETE SENESI」。
1988のイタリアン・オスカー賞に輝くこの料理のレシピを簡単に説明しますと、
人参、タマネギ、ニンニク、セロリ等をオリーブオイルで炒め、
そこにウサギの肉を加えます。その際、粉末状のシナモン、ローズマリー、
タイム、バジリコ等を風味付けにまぶし、ウサギから出る水分が無くなったところに
ケイパーを加えます。
その後、ボトル1本半程のキャンティワインをそそぎ込み、長時間の煮込みに入ります。
こういった、手の込んだ豪快な逸品こそ、郷土料理を得意とする
レストランで試してみたい一皿ですね。
「この煮込みスタイルはシエナの伝統的料理法なんだよ。
でもね、30年くらい前になるかな?あるお婆さんが僕にある秘密を教えてくれたんだ。
それは、‘ケイパーを加える’ってこと。
この時、そのお婆さんは既に90歳だったんだけどね!」
さて、ピエロの手がける数々のシエナ伝統料理に欠かせないパートナー、
赤ワインですが、こちらの方の品揃えもなかなかのものです。
伝統派ワインの「FELSINA」や「CACCHIANO」「BADIA A COLTIBUONO」等の
キャンティから、「SASSICAIA」「TIGNANELLO」「ROCCATA」等、噂のワインまで、
様々なトスカーナワインがボトルでオーダーできます。
なんとも豪華な夕食になること間違いなしのこのお店。
さて、皆さん、シエナの滞在日数を何日分予定しましょうか!
Ristorante Grotta di S.Caterina Siena ‘Bagoga ’
Via della Galluzza 26 53100 Siena
0577-282208 (月曜、日曜ディナー定休・1/7より20日間休業)
http://www.bagoga.it bagoga@mailcity.com
・営業時間 :12:00〜15:00、19:00〜22:00
・平均客単価:ITL 50.000 (ワイン除く) クレジット可
数あるメニューからのお勧め
・第一の皿(プリーモ)
「Pici al Cinghiale・イノシシのピーチ」
「Gnocchi al tartufo・トリュフのニョッキ」
「 Zuppa di Funghi ・ポルチーニ茸のスープ」。
・第二の皿(セコンド)
「 Coniglio alle Crete Senese ・ シエナ風ウサギの煮込み」
「 Coniglio alla Vernaccia di San Gimignano ・
ウサギのヴェルナッチャ仕込み」
「 Tagliata Fantasia dello Chef ・ シェフのオリジナルタリアータ」
ベンデンミア(葡萄収穫)より
「ISORE E OLENA」 ,「CASTELLO DI MONSANTO」 ,
「CASTELLO DELLA PANERETTA」等の
カンティーナがある、キャンティはBarberino Val d’Elsa で
ベンデンミア(葡萄の収穫)を終えた日本人若夫婦、
大介君とあずさちゃんに感想を聞いてみましょう。
A:「何だか、お祭りって感じだったよね」
D:「そうそう、近所からいろんな人が集まってさ、
10人くらいでわいわい賑やかに葡萄を摘んでいくんだよ。
‘見て〜!すっごいよこれ!’って感じで、
見事な葡萄の房を見せびらかしながらさ・・・」
A:「でも、キツかったね〜 」
D:「うん。みんな摘んだ葡萄は各々のバケツに入れてくんだけど、
その一杯になったバケツをトラクターに運んで
葡萄を移し入れていくのが僕の担当だったんだ。
朝は8時〜12:00迄。午後は、13:30〜17:30迄。
収穫期はもう、くたくただったね。」
A:「何しろ、早く済ませなくちゃならないから、よく、手切っちゃったの。
自分が担当する葡萄の木の列があるじゃない、で、表側はいいんだけど、
裏側はよく見えなくって、‘この辺にあるかな〜?’
みたいな感覚でハサミ入れるから、
つい、間違って手まで切っちゃうんだよ・・・」
D:「いのししの食べた跡とかよく見たよね〜」
A:「見た見た!」
D:「昨日、スーパーで買ってきたイノシシが妙に美味しかったんだよ。
‘どうせ豚だろう’なんて思ってたら大間違いでさ、
すっごく柔らかくて甘みがあるんだよね。
ヤツらは葡萄食べるけど、こう美味しく変身するんなら、
まぁ、いっか?って大目に見れちゃうね」
D:「今、収穫が終わってみて、ん〜、ちょっと寂しい気がするな」
A:「うん。寂しいね。私たちはさ、いつも畑で葡萄の成長具合を見てきたじゃない?
房が出始めて〜、色が付き始めて〜だから、
葡萄が無くなっちゃった畑の光景はちょっと寂しいな・・・」
D:「収穫時期のタイミングは、専門家の人が来て決めるんだ。
葡萄の酸度や糖度を測って、何日後から摘み始めるかが決まるんだ」
A:「私たちはまず9月17日からメルロー、9月26日からサンジョベーゼ、
そして、10月の上旬からカベルネに取りかかったよね」
D:「専門の人は、摘まれた葡萄を潰した時点ですぐ糖度計にかけたりして、
将来のワインの味のイメージをくみ取るんだよね」
D:「初めは、色も濃って、臭いんだけど、嬉しいね!」
A:「そうそう!嬉しい!嬉しい!」
この若夫婦、将来日本でカンティーナを持つという大きな目標を掲げ、
毎日、真剣に葡萄畑で葡萄の勉強に励みます。
「これさ、もらった葡萄を手で潰して、それらしい行程でやってみたんだけど、
どうかな?イメージとしては、アスティのような発泡酒系にしたかったんだけど・・・
この濁り沈めるのに、卵白入れてみようかな〜?」
何とも、今まで見たことのない濁酒のようなワインが注がれました。
「うん。不味くはないよね。変わった味だよね・・・???」
何か思いついては、試してみる遊び心旺盛な大介君をやさしく見守るあずさちゃん。
彼らは毎日‘葡萄畑日記’をつけていますので、現場サイドの声を聞きたい方は、
是非、メールで連絡してみて下さい。
e-mail:casa1210@hotmail.com です。
彼らは、伝統的なワインの里キャンティから、そろそろボルゲリ方面に拠点を移し、
新たな視点からの研究に取り組みます。
みなさん、トスカーナ仕込みの日本ワインは、只今、じっくりと準備中です。
みなさんの応援が、彼らの栄養!
私たちも、応援することで、ワイン造りに参加しましょう!
おまけのイタリア語コーナー!
今回は、レストランでのメニューを取り上げてみましょう。
地元客に評判の良いオステリア(食堂)ほど、
日本語や英語で書かれたメニューはありません。
素材や調理法、季節物など、トスカーナの郷土料理レストランで
ありがちな品をいくつかご紹介しましょう。
【素材編/野菜】
・Funghi porcini (フンギ ポルチーニ):ポルチーニ茸
・Tartufo (タルトゥーフォ):トリュフ
・Carciofi (カルチョーフィ):アーティチョーク
・Pomodoro (ポモドーロ):トマト
・Ceci (チェーチ):エジプト豆
・Asparagi (アスパラジー):アスパラガス
・Fagioli (ファジョーリ):いんげん
・Cipolle (チポッレ):タマネギ
・Peperonata (ペペロナータ):ピーマン
・Melanzane (メランザーネ):茄
【素材編/肉】
・Cinghiale (チンギアーレ):イノシシ
・Vitella (ビテッラ):子牛
・Maiale (マイアーレ):豚
・Trippa (トリッパ):牛の胃袋
・Salsicce (サルシッチェ):ソーセージ
・Pollo (ポッロ):鶏
・Coniglio (コニッリオ):ウサギ
・Lepre (レプレ):野ウサギ
・Anatra (アナートラ):アヒル
・Fagiano (ファジャーノ):キジ
・Fegatelli (フェガテッリ):レバー
【調理法】
・alla Cacciatora (アッラ・カッチャットーラ):猟師風
・alla Contadina (アッラ・コンタディーナ):農民風
・al Forno (アル・フォルノ):オーブン焼き
・fritto (フリット):フライ
・arrosto (アロースト):ロースト
・Umido (ウミド):煮込み
・alla Griglia (アッラ・グリッリア):グリル
食事は、〔Antipasti・前菜〕→〔Primi・第1皿〕→〔Secondi・メインディッシュ〕→
〔Dolci・デザート〕→〔カフェ又はグラッパ等〕
と進められますが、全てをオーダーする必要はありません。
〔前菜〕→〔メインディッシュ〕とか、〔第1皿〕→〔メインディッシュ〕→〔デザート〕とか、
その時のお腹の入り具合でご自由に決めて下さい。
〔Contorni・付け合わせ〕は、普段、〔メインディッシュ〕と一緒にオーダーする傾向があります。
ただ、〔メインディッシュ〕を取った後で、〔第1皿〕に戻るといった、オーダーの逆はなしですよ。
では、じっくりとメニューからお楽しみ下さい!
今月新にスタッフに加わったフランチェスコは26歳のリボルネーゼ(リボルノ出身)。
将来、地元でワインショップを開きたいとの夢実現のため、
5年間勤めたフィレンツェの「エノテカ・ピンキオーリ」を辞め、
私たちの店、「エノテカ・トスカーナ」のスタッフに加わりました。
「お店にいた時はね、日本人客にはちょっとした注意が必要だったんだよ。
普段、僕たちは、女性からサービスをするのが普通だよね、ワインも料理も。
でも、日本人客の場合は事情が違うんだよね。
例えば、‘まず初めは必ずあのグレーのジャケットの男性。
次に、あの眼鏡の男性、それから、あのベージュのジャケットの女性、
そして・・・・’みたいに、
グループによってサービスの順番が決められてるんだよ。
でもさ、そうは言われても、僕はやっぱり女性からサービスを始めたいな」
先日、日本のお客様のテイスティングを担当したのですが、
お客様は、50代と思われる4組のご夫婦、計8名です。
「いかが致しましょう?こちらイタリアでは、
女性の方からサービスをするスタイルがエレガントなんです。
皆さん、イタリアンスタイルで進めましょうか?それとも・・・」
「いやっ、ここはイタリアンスタイルでいきましょう!」
「私も、問題ないですよ」・・・と、皆様、気持ちよく女性からのサービスに満場一致。
マナーはいろいろありますが、
例えば、お魚の綺麗な食べ方、フルーツの皮の綺麗な剥き方、
といったテーブル席でのテクニックの問題は別として、
イタリアでいう‘日常的なテーブル習慣’が意外に日本で知られてないことがあります。
「あのね、レストランでワインを注いで頂くときは、
やっぱり、両手でグラスを持ち上げるべきなのかしら?」とご婦人からの質問。
「いいえ、そのまま、グラスはテーブルに置いて下さい。
注がれるワインを優雅に眺めていてください」
イタリア人のイーダとレストランで食事をしている時、
彼女は少し離れたテーブルに一人座る若い男性に気が取られっぱなしでした。
その彼に食後のカプチーノが運ばれたときには、「外国人だね〜!」と、
思わずお互い声を合わせた私達。
イタリア人にとって、カプチーノは朝食の飲み物なんです。
食後のカプチーノは私達日本人だけではなく、アメリカ人やドイツ人にも見られる光景です。
逆の場合を見てみましょう。イタリア人が日本食と直面する場合はどうでしょうか?
実際に目撃した光景でいいますと、
のり巻きののりを綺麗に剥がして食べている光景、
お寿司をフォークとナイフで分けている光景、ネタの鮪を食べてからしゃりを食べる光景、
割り箸を割らずに、串のように使う光景・・・・・
なんとも、私にとっては劇的シーンでした。
私の場合は、ちょっと戸惑った時にはその都度、
一緒にいる友達や店のスタッフに聞いてしまいますが、
「スパゲッティーを食べるのにスプーンは使う、使わない」といった、
イタリア人の中でも意見が分かれる場合もあります。
そもそもイタリアンレストランは明るく、楽しいフレンドリーなものです。
何かある毎にお店のスタッフに気軽に聞いてみましょう!
会話を交わしたお客様は、店のスタッフにも記憶が残るものです。
今週末、もしくは来週末、みなさん、どんなレストランへ行く予定ですか?
海外の厨房経験者のコックがいるレストランや、
現地のスタッフが働くレストランなどに出向き、現場の情報を聞きながら
料理と一緒に仮想旅行を楽しむというのは、どうでしょう!
レストランを日常の一つに取り込んで、オフを充実させるんです!
食は私たちの共通テーマ。
食の情報を通じてなら新しい人との交流も気楽に楽しめますね!
さあ、自分へのご褒美記念日としてレストランに行く予定を入れ、
素材、話題共に現地の新鮮ネタを堪能しましょう!
では、旬の素材が去らないうちに、
Buon appetito!