All Right Reserved Copyright(c) 1996-2003 Shu.Fujimaki
メドック地区はボルドーの中でも高級ワインを最も多く産する地区です。大西洋の影響を受ける温暖な海洋性気候で、日照時間が長く比較的乾燥しています。土壌はジロンド河が運んできた小石混じりの石灰質の痩せた土地です。しかしこの石灰質土壌はワインに香りとまろやかさ、ふくらみを与え、小石は排水性の高さをもたらし更に日中の太陽の熱を吸収し夜にその熱を放出しぶどうを寒さから守ります。
このような気候と土壌の素晴らしい組み合わせによりメドック地区は最高級の赤ワインを作り出しています。
さて先ほどよりもうちょっとだけ詳しい地図を用意しました。ボルドー地方の地図の中の赤い色で表したメドック地区だけを取り出した地図です。
地図で薄茶色で示した部分がメドック地区になります。その中に特に優れたワインを産する村を色付けしています。
下流から
Saint-Estephe(サン・テステフ)
Pauillac(ポイヤック)
Saint-Julien (サン・ジュリアン)
Listrac(リストラック)
Moulis(ムーリ)
Margaux(マルゴー)
の5つの村が有名です。これらの村それぞれで収穫されたぶどうから造ったワインはそれぞれの村の名前をつけたAOC名をつけることができます。
これ以外の薄茶色の部分で収穫されたぶどうから造られたワインはAOC名は
Medoc(メドック)
特に上流の地区で造られたものは
Haut-Medoc(オー・メドック)
という名前がつけられています。
それでは、各村の簡単な説明と代表的なワインについて説明しましょう。
Appellation Saint-Estephe Controlee
Medocの中では粘土質の多い土壌で、これに合わせてメドックの主力品種であるカベルネ・ソーヴィニヨンの他にメルロというぶどう品種がやや多く栽培されています。ワインは重くがっしりしたタイプが多いようです。
Appellation Pauillac Controlee
砂利、小石の多い土壌です。Medoc格付けシャトー(グラン・クリュ)60のうち18のシャトーが集まる村です。更に最高のクラスである1級格付けシャトーの半分以上3つがこの村にあります。ワインはスケールの大きいボディのしっかりとした素晴らしいものとなります。
Appellation Saint-Julien Controlee
この村も小石混じりの砂利質の土壌です。隣村のポイヤックに似たワインを作り出します。レオヴィル・ラスカズやデュクリュ・ボーカイユなど2級でありながら1級に匹敵する品質といわれるスーパセカンドと呼ばれるシャトーワインがあります。また、シャトーラグランジェは日本のサントリーが買い取り多額の投資によって品質が著しく向上したことも有名です。
Appellation Listrac Controlee
地図でも分かるようにちょっとジロンド河から内陸に入ったところにあります。砂利も多いのですが粘土質の混じった土壌です。柔らかいタイプのワインが造られています。グラン・クリュはありませんがブルジョア級の良いワインがあります。
Appellation Moulis Controlee
こちらも内陸に位置する村です。土壌は後述のサンテミリオンに近いといわれ出来るワインもエレガントなものになります。こちらもグラン・クリュはありません。
Appellation Margaux Controlee
AOCでマルゴーを名乗れるのはマルゴー村の他に周辺のカントナック、スッサン、アルサック、ラバルドを含む合計5つの村です。砂利の堆積が厚く大変水はけの良い土壌です。メドックの中でも優美で繊細な女性的なワインが造られています。1級に格付けされているシャトーマルゴーはシャトーの建物が美しいことでもよく知られています。