シュール・リーについて

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フランスのロワール地方を流れるロワール河河口付近のナント地域ではミュスカデという種類のワインを造っています。ここでは古くからシュール・リーと呼ばれる独自の方法でワインを造っています。

シュール・リーとはフランス語で「澱の上」という意味ですが、その名の如くこの製法は透明なワインが澱の上にある状態で静置しておく方法です。白ワインの造り方の説明で発酵が終わったあとは酵母菌体などからなるワインの澱をオリ引き作業で速やかに取り除きます。これはオリの持つ匂いや硫化水素臭などがワインに移るのを防ぐためです。しかしシュール・リーではオリ引きを直ぐにしないで最高で翌年の6月30日まで澱とワインをタンクのなかで接触させておきます。このようにする事で澱の主成分である酵母菌体が自己分解してアミノ酸やペプチドがワインに溶け込み深みや幅をワインに与えます。

シャンパーニュも2次発酵の過程で澱と接触していますね。このようにして独特の味わいをもたせる方法がシュール・リーです。

シューリ・リー製法で造ったワインは発酵で生じた炭酸ガスがワインに少し溶け込んでいますので、微発泡がよく見られます。グラスに注いだとき良く見るとグラスの底や縁に細かい泡が付くことがこのワインでは良くあります。飲んだときにもこの泡の刺激によって爽やかな味わいをもたらします。近年、日本の甲州種のワインにもこの方法が用いられることがあるようです。


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